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長倉 洋海氏・・・2 [photo]

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今回の作品展「地を駆ける」について伺いました。
戦場からまさに人間に目がむいてきた瞬間のもの、出会った子供たち、そして今回は・・・

人間を支えている風土、環境を通して人間の奥にあるものを見つめています。
長倉氏といえばマスードのイメージがとても強かったのですが、彼が自爆テロで亡くなり、その後長倉氏は前に進むことができませんでした。
ところが彼はシルクロードに生きた人間で、自分もシルクロードの一番端の日本という国で生まれた人間、
なぜかシルクロードでつながっていると思えた瞬間からなにかが変わりました。
マスードの生きたシルクロード
僕も生きているシルクロード
今回の展示は3部構成です。シルクロードの写真の他には、北の島・南の島、そして被災地の子供たちの写真が展示されています。
どの写真からも写真に吸い込まれていく感じがします。

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レンズを向けている時には何を考えられているのでしょう?
そして長倉tasteとはどこに現れているのでしょう?
あくまでも「人間」をカメラで追い続けて来た長倉氏、これから撮りたいものはまだまだたくさんあるそうです。

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写真を撮ることによって、今まで知らなかったことを知ることができる。
知っていると思っていたことを再確認することができる。
人間が生きるということの再確認をすること、
おそらく長倉氏はこれからもずっと地を駆けることを続けていかれるのだと思います。
世界中の一生懸命生きている人、美しい人、そして豊かな表情をもっている人を追い求めて・・・
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※現在東京都在住
※2013.0921~1020 釧路市立美術館で「地を駆ける展」を開催

長倉 洋海氏・・・1 [photo]

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釧路出身で高校まで釧路で過ごした長倉氏、その後同志社大学へ進まれ、探検部に所属します。
そして、フォトジャーナリストとしてこの世界へ入り、その後フリーの写真家に。
フリーになるきっかけは何だったのでしょう?

なんのために生まれた?きっとなにかがあるはず・・・
それは何なのか探すために走り続けました。
戦場でカメラを撮っていた時に、「伝える」ということをキーワードに持ってのぞめば
挫折した自分を乗り越えられると思ったそうで、それはある意味自分の殻を破るためだったのかもしれません。

当初からテーマは人間ではなく、戦争。
でも戦争は1枚の写真では撮ることができない。
数多くの写真を撮影する中で、人間を撮りたいと気づかれたそうです。
いつしか戦場の厳しさから人間のもっているぬくもりに・・・・・・

戦場で撮影している時に表現したかったことは何なのでしょう?

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あくまで長倉氏が撮られているのは・・・人間そのものなのです。
そこが戦場であっても、南の島であっても、北の島であっても、被災地であっても。


※現在東京都在住
※2013.0921~1020 釧路市立美術館で「地を駆ける展」を開催

戸川 覚氏 [photo]

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東京在住の戸川氏は羅臼、知床にとても縁のある方なんです。
彼の現在の撮影テーマは「在りて」北海道を舞台に、北海道アイヌの自然観が息づく北海道の風土を撮影なさっています。

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羅臼とのつながりはおじい様である戸川幸夫氏の時代にさかのぼります。
動物作家であったおじい様は取材のために何度も羅臼に足を運ばれていました。森繁久彌氏の映画や加藤登紀子氏の知床旅情がうまれた頃です。
その時からのつながりで戸川家と羅臼とは交流がずっと続いていたのです。
覚氏はアイヌの方からのお話しを聞くうちに、「自然に感謝して自然とともに生きていく」その自然観に心動かされ、野生動物や昔から姿を変えないもの、厳しい自然などを被写体に選ばれています。

当初は庭を造ったり、木を植えたりしようと東京農大の造園科に進まれました。
その学生時代にタイへの旅行に行かれたのが・・この道への始まりでした。
タイでパスポートの盗難にあい、なにもかも失った後で向かった先がチベット、ボナパート寺院。
そこで巡礼に来ている人たちに会い、色々な話しをしているうちに、
自分は遠く離れた日本に住んでいるけれど、なにか自分の姿に近いものを感じたそうです。

学生時代の旅がきっかけでこの道でやっていこうと決心し、6年間制作会社で勤められ、
写真のノウハウを蓄積し、再度チベットの地へ向かいました。
当時とかわっていない人と風景に感動し、そこで本格的に撮影をしたものを「帰一」として
以後発表することになるのです。
彼が大切にしていることは・・・
野生動物であっても、木々であっても、人であっても・・・被写体は生きているもの。
そして、そこには必ず背景があるということ。過去から繋がって今があるという事実。

チベットでの出会いから始まったことですが、生きているもの、生きとし生けるもの
その種類を剥いでしまった生き物の美しさを見せたいということなのです。
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一生懸命いきて、色々な人、風景、動物に出会い、
その出会いを残していくこと・・・それが戸川氏にとっての撮影をするという意味なのです。


※現在東京都在住
※2013.0803~0825 網走市立美術館で個展を開催
※写真は戸川覚氏からお借りしました。

佐藤 弘康氏 [photo]

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北海道に来てから11年。
初めてとった写真についてのお話しからスタートです。
このカメラはもう30年以上も愛用なさっているもの。
「シンプルなんでとても使いやすいし、壊れないんです」

佐藤氏が写真から伝えたいものは・・自分で見た現場の空気感。
ドキュメンタリーを主に撮影なさっているので、テーマが酪農であれば、その仕事を実際に体験。
仕事をしないと見えてこない視点が佐藤氏が撮られた作品からは伝わってくるのです。
ここ数年少し考え方が変わってきました。
2012秋の作品展は今までと視点をかえたものが会場に並びます。

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旅人として北海道を被写体として撮るのではなく、そこに住み、周りの人たちと語らっているうちに
いつしかテーマは開拓へとむかっていきました。
この2〜3年、特に意識しだしたそうです。
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何が変わったのでしょう?
佐藤氏の根底にあるものは、”自分の知らない世界を知りたい”という欲求。
ただし、その場の空気感を伝えたい気持ちはかわっていません。視点がかわったということなのです。

最後に今回の作品展について伺いました。

今回は通常のレジンではなくバライタ紙を使ってプリントされました。
モノクロの質感、トーンが通常とは違います。
このモノクロの世界、開拓の時代の何かを・・・見る人の心に焼き付けることになると思います。

※現在別海在住
※2012.1027〜1126 中標津町東1条ギャラリーで個展を開催
※写真は佐藤弘康氏からお借りしました。
佐藤弘康氏のhpは・・・
http://www.satoeyes.com/

秋元 亮太氏 [photo]

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釧路に生まれて、釧路に住むカメラマンの秋元氏が感動したこの道東の魅力を1コマ1コマファインダーを通して作品にしました。

ar2.jpg 秋元氏の表現する作品はタッチも自然でやわらかく、色も淡いのが特徴的です。
 特にパソコンで加工するわけではないのですが、
 どうしてこんな優しい感じに撮ることができるのかとても不思議です。
 それは朝もやや霧など自然がつくりだす環境を身体で感じ、
 そのものをファインダーにおさめることができるから・・・だとは思うのですが、
 やはり秋元氏の身体を通して表現されたということは
 彼の性格もそこには現れているのだと思います。

 
秋元氏の一番のお気に入り・・・・・
ar1.jpg  塘路湖で結氷した湖の湖面を撮影したものです。
 氷の気泡がたくさん見えるのですが、一カ所だけ光っています。
 ここに朝日がまるでスポットライトがあたっているように見えます。
 自分が思い描いた映像がそのものカメラのモニターに現れた瞬間「やった!」と思われるとか。
 その瞬間を切り取ったものがこの写真です。

 アートとはその人そのもの。その人自身の内面が現れるもの。
 自分が受けた感動をより多くの人たちに共有してもらえたら嬉しい。

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※現在釧路市在住
※写真は秋元亮太氏からお借りしました。
※2011.1221〜2012.0303 釧路 珈琲館ポニーで個展を開催
秋元亮太氏のhpは・・・
http://www.ezo-photo.info/

佐藤 弘康氏  [photo]

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山形県生まれ、新潟育ちの佐藤氏がなぜ北海道の別海に・・・というお話しからスタートです。

酪農日本一の町が別海だとツーリング雑誌に書いてあったので足を運んだのがそもそものはじまり。
3日間で酪農家の写真を撮らせてもらうはずが・・9年が経ち現在に至っています。
お父様のカメラで乗り物を撮り始めたのがカメラとの出会いでした。

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やはり人と牛と信頼関係が出来、懐の中に飛び込んで撮影をすると出来上がる作品は違うのです。

satoh1.jpg働いている人の気持ち、牛の接し方がわかってくると被写体との一体感や空気感までが作品に現れてきます。他にも沢山職業はあるのにどうして酪農に焦点をあてたのでしょう?
牛乳が大好きだったのでその現場を見たかったこと、
酪農家の牛に対する深い愛情、
そして、地に足をつけている姿に惹かれたそうです。
大変だったことは・・子供達のパワーに押されながらも野球をしたり、
牧草ロールで遊んだりしたこと。
子供達の元気のよい顔や生き生きとした表情はそんな経験があったからこそ。
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佐藤氏が伝えたいこと・・・・・
それはごく日常的なこと。
親の背中をみて子供は育ち、
子供は親の傍らで愛情をうけてすくすくと育つ。
日常が育む家族の絆、愛情。
彼は、カメラという手段を使って現場の空気を伝えています。





※現在別海在住
※2011.0806〜0828浜中にある霧多布湿原センターで個展を開催
※写真は佐藤弘康氏からお借りしました。
佐藤弘康氏のhpは・・・
http://www.satoeyes.com/

小笹 純弥氏 [photo]

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氷や水の造形美を自分のフィルターで切り取る・・という作家ではなく、あくまでどんな被写体とも真正面から向き合い、その被写体の一番美しく見える視点を、ポートレートを撮る作家、小笹純弥。
彼自身の口から作品について語っていただきました。

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何かを撮ろうとするのではなく、自然の中を歩いて、探して、その中で面白いと思ったものや美しいと思ったものを撮影しています。はじめは氷や水が被写体としてのメインでしたが、他の被写体も撮られています。でも彼にとってはやりたいことは表現したいことは一緒。生有るもの無いもの・・すべてはポートレートを撮っているのです。
そもそもは写真家の星野道夫氏に憧れこの世界に足を踏み入れました。

ozasa12.jpg 撮影の時には普段みない角度や、
 どういう角度がその被写体にとって一番ベストなのかを考えています。
 時間によって
 天気によって
 シーズンによって
 見えないものが見えたり、
 一番美しいと思う瞬間があったり・・・

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実は写真を撮りに行って、
カメラを持っていない時が一番しあわせなのです。
自分の目で見ている瞬間です。
それはどうしてでしょう?
どうしてもカメラにおさめられないもの、
ひとことで言うならその場の空気感なのです。
やはり実物、本物にはかなわないと思う時です。

小笹氏にとって作品づくりはこの世界、宇宙をみること。
その時向き合ったものを記録として積み重ねること。
・・・・・・出会いの記録を撮っているのです。

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※現在弟子屈町在住
※2011.0809〜0814 北海道立釧路芸術館で開催の共振芸術空間2011に佐々木秀明氏とともに「氷と共振」する。

上村 知弘氏 [photo]

ut1.jpg神戸生まれの一人の青年がカナダの自然に魅せられてカメラを手にしました。
鶴居にやってきたのが3年前。
ほんの少しの滞在の予定がすっかり鶴居にはまり生活を謳歌していました。
山小屋も自分たちで建て・・・
ところが2011年5月にカナダに永住権をとって移住することになりました。
今回はカメラマンのことよりも山小屋についてのこと、鶴居での生活のお話しから・・・

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カメラマンとして、
鶴居での撮影したものの中で特に思い出深いものについて伺ってみました。

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日本で作品を人に見てもらうということが出来ました。
そうすることによってはじめて自分の作品が完結すると感じたそうです。
カナダではこの写真の野生のシープを1年かけて追って撮影するそうです。
どこにいても、いつでも自分が自然とつながっていたい!!
これこそが上村氏がカメラマンとして貫き通したいことなのです。
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※現在カナダ在住
※作品写真は上村知弘氏からお借りしました。
上村知弘氏のhpは・・・
http://www.wild-world.com/gallery.htm
上村知弘氏のブログは・・・
http://naturayukon.blog53.fc2.com/

宮本 昌幸氏 [photo]

自然、特に動物を被写体になさっている宮本氏。タンチョウを撮影するために鶴居にいらっしゃいました。
そこでまず写真をはじめたきっかけから伺いました。


ojirowashi.jpg最初の被写体には猛禽類が選ばれました。
face to face
彼らの眼力
そのpowerに惹かれたそう。
彼の写真には生きものが持つ力強さややさしさが現れています。

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「僕が、心の中を通じてみた北海道の風景やそこに生きる動物たちの・・・内面を映し出すような瞬間をいつも追い求めているんです」
お気に入りの一枚は・・・このタンチョウ。
粘った甲斐がある最高の一枚です。
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shachi.jpg真摯に動物と向き合いそこに何かを求める姿と、
 彼が撮った作品の動物たちの人間くささが
  なんともいえずステキなのです。

タンチョウもシャチもともに彼にとってはとても人間くさい生き物。
なぜか人間くさいものに惹かれてしまう宮本氏ですが、
関西出身の彼がこれから撮りたい被写体は北海道よりもずっと北。
とにかく北に行って北の動物たちを撮ってみたいそうです。


※現在芽室在住
※作品写真は宮本昌幸氏からお借りしました。
宮本昌幸氏のhpは・・・
http://1st.geocities.jp/far_north_miyamoto/index.html
宮本昌幸氏のブログは・・・
http://farnorth.blog88.fc2.com/

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